遠藤達哉短編集

四方遊戯 遠藤達哉短編集 (ジャンプコミックス)
ついこの前までジャンプSQにて連載されていた「TISTA」の作者、遠藤達哉先生の短編集、「四方遊戯」が発売されました。


自分は約8年前にジャンプに読み切り掲載された「月華美刃」で遠藤先生の存在を知り、読み切り作家ながらもファンになってしまいました。その後も作品は毎回チェックしてただけに、こうして短編集として形になったからには買わざるを得ません。


ネタバレしない程度に作品の気になった所と感想を紹介。


【西部遊戯】
免許取得制になった世界の賞金稼ぎ候補生たちの話。しかし賞金首が出てこず、賞金稼ぎ同士のバトルもの。遠藤先生のデビュー作ながらも、掲載誌が赤マルジャンプだっただめに未読でした。この短編集の中では一番ストーリーも絵柄もスッキリしてて読みやすいと思います。


月華美刃
自分が知るきっかけとなったハイテク竹取物語。時代的に平安時代っぽいけど宇宙船や銃があるからすごくハイテク。物語は勝気娘のチャンバラ劇って感じ。一番バトルしてますね。寄り目は遠藤先生のデフォっぽいけど、今作が一番寄り目ってる気がします。


【WITCH CRAZE】
魔女狩りの話。今作のみ主人公が男女ペア。テーマがテーマなだけに、ちょっと暗めのストーリーでした。欧州の雰囲気がいい感じ。伝説の魔女が2発目でのされるとこには驚きましたが、魔女を引退してるなら仕方がない。


【PMG-0】
銃士隊に所属する少女の話。掲載時期が比較的最近だったので内容はほとんど覚えてました。個人的にこの作品は西部遊戯のリメイク版だと思っています。
理由としては、西部遊戯とPMG-0では共通点が多くあり、

  • 奔放な女性が主人公。
  • 銃社会なのに銃を使わない拳闘士。
  • 準主人公がひ弱な少年。
  • 幼い頃から銃にトラウマあり。
  • 両眼下に泣きぼくろ。
  • トドメのモーション、ポーズが同じ。

などなど。それでもキャラクターの濃さやアクション描写の質は上がっているように感じます。


結局ネタバレしてる部分も多いけど気にしない。気にしないったら気にしない。


上で西部遊戯とPMG-0の共通点として挙げた部分は、遠藤先生の作品全体としても言えるかもしれません。特に女性が主人公という部分は先生のこだわりなんでしょうね。以前奈須きのこさんのインタビューを読んだ時、「本来弱く美しいはずの女性が強くあろうとする姿は問答無用で美しく見える」みたいなことを書いてあったんですが、その辺と同じ美学を感じます。
その他に挙げるなら爽快なアクション性ですね。簡単に言えば、「カッコよく悪をぶっ飛ばす!」という描写がとても上手いです。勧善懲悪を如何にアクションを凝らして魅せてくれるか。そこに注目して読んでみるのもまた楽しいかもしれません。



その後、満を持してTISTAが連載されたわけですが、ジャンプSQでの掲載順位はズルズルと下がってしまい、たった2巻で終了してしまいました。
他の掲載作品やかつての遠藤作品とはまた違った、独特の雰囲気が好きだったんですが、話がダークすぎたり設定の詰め込み過ぎ感が受け入れられなかったのかな?
初回からセンターカラーだったり、ポスターを描いてたりと編集部からの期待は高かったように思います。残念ではありますが話がちゃんと完結してよかった。


次回作は是非WJの方で連載してほしいです。爽快感やギャグもあると尚いいなぁ。




四方遊戯 遠藤達哉短編集 (ジャンプコミックス)

四方遊戯 遠藤達哉短編集 (ジャンプコミックス)

表紙をよく見ると各作品のキャラの特徴が。泣きぼくろとかカグヤのタトゥーとかタニアの髪飾りとか。
カラーページにちゃっかり居るティスタがかわいい。


TISTA 1 (ジャンプコミックス)

TISTA 1 (ジャンプコミックス)

TISTA 2 (ジャンプコミックス)

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