ネムルバカ

最近「それでも町は廻っている」を読んで面白かったので、同じ作者のネムルバカ (リュウコミックス)を購入。
いやぁ、石黒正数先生の作品はいい意味でこちらの期待を裏切ってくれる。


この作品は大学生活のモラトリアムが描かれ、読む側に様々なことを考えさせられます。
特に「自分は一体なにをしたいのか?」という部分に多く焦点が当てられてます。

  • 「先輩  最近は周りに情報が多すぎて自分レベルの人間がどの地位止まりか早い段階で見えちゃうんですよ」
  • 「やりたいことのある人とやりたいことがない人の間に、何かしたいけど何が出来るのか分からない人ってカテゴリーがあって、8割方そこに属してると思うんだがね」
  • 「先輩は外の世界と歯車が噛み合って動いてる感じ。私のはどうやったら回るんだろ」


作中からのセリフですが、どれも耳が痛い。
自分のことなのになにも分からない。将来や未来といったもの全てが真っ暗で不安。
こういったことを考える若い人にこそ読まれる作品なのではないでしょうか。


また、駄サイクルの話は身に染みる。作中から引用して説明すると、

  • 「輪の中で需要と供給が成立し、ぐるぐる廻り続けるだけで一歩も前進しない駄目なサイクルのこと」

自分だけの安置。ぬるま湯。馴れ合い。
楽しいけれど成長しない。むしろ駄サイクルの中にいると成長してないことすら分かっていない。
重いなぁ・・・。たとえやりたいことがある人でも駄サイクルの輪の中に陥ってることもあるわけですよ。
自己満足してませんか? 簡易な努力しかしてませんよね?
そんな言葉をぶつけられてる気持ちになります。
そしてまたこの問題にぶつかる。
「自分は一体なにをしたいのか?」


前半は大学生のユルい日常、後半は寂しくもアツイ展開。そして全編通して読者に「自分を見つめ直す」機会を与えてくれる一冊となっています。
どの部分を切り取っても面白い。全1巻で読みやすいのでオススメです。


ネムルバカ (リュウコミックス)

ネムルバカ (リュウコミックス)